平成31年3月31日、夢眠ねむさんは芸能界を引退されます。
これまでに何度か書いています通り、僕は(現在は元)でんぱ組.incの夢眠ねむさんのオタです。
ライブ、CD、DVD、テレビ、ラジオ、Twitter、Instagram、アート活動、文筆、と多岐にわたる活動を通して感じられるインテリジェンス。
プロフィールにて「オタク研究」を担当分野に挙げながら、自らもテーマパークや二次元業界のオタクでもあったためか、オタという生き物を深く理解し、時にオタの人生を想っての言動が素敵で、僕にとっては特別な存在になりました。
ライブに「推しの色の服着てこう」と思ってシャツを染めたり
生誕イベントに行かせてもらったり
本当に楽しいオタ活をさせていただきました。
この生誕祭の時の記事で僕は、「伝統芸能としての夢眠ねむ」として発展する可能性を感じていたのですが…それ以上に、誰もが幸せになれるよう、作品に最後の筆を入れていきました。
今になってみて、卒業後のライフプランに向けて完璧に準備が整っていく様を振り返っていくと、本当にすごい。
太字…夢眠ねむ後に関係する内容
下線…でんぱ組.incとしての夢眠ねむ終了に関係する内容
2015年
・夢眠書店開店日記 連載開始
2016年
・WWDBEST発売
・まろやかな狂気 夢眠ねむ作品集 出版(MARQEEでの連載の書籍化)
2017年
・DearStage・たぬきゅんがピューロランドとコラボ
・たぬきゅんEXPO開催
・VOCALOID3「夢眠ネム」発売
・VOCALOID 夢眠ネム コンピレーションCD発売
・ファンであった小沢健二の「流動体について」MV出演
・夢眠ねむの生誕祭は2017年で終了
・根本凪(虹のコンキスタドール赤組で夢眠ねむのオタク、後に担当カラーを引き継ぐ)、
鹿目凛(ベボガ!、後にライブでのMCを引き継ぐ)でんぱ組.inc加入
・(どの辺だか曖昧だけど)いつのまにかたぬきゅん・ラビやん・コアラさんがディアステージに所属
・本の本 夢眠書店開店日記 出版(本のひきだし WEB連載の書籍化)
・ゆめみやげ 出版(メンズノンノでの連載の書籍化)
2018年
・対バンツアーにて、ファンであったスネオヘアー楽曲提供「ナイフ」収録のソロアルバム発売を発表
・ファンクラブイベントにて卒業・芸能界引退することを発表
・ソロアルバム「夢眠時代」発売
・まろやかな狂気2 夢眠ねむ遺言集 発売
2019年
・「ワレワレハデンパグミインクダ」発売
・コスモツアー2019 in 日本武道館 夢眠ねむ卒業公演
・ココリコ田中さんとの番組 ひらめけ!デンキッキ 終了(→でんぱ組.inc藤崎彩音の「きらめけ!デンパッパ」へ)
・夢眠ねむのまどろみのれん酒 終了(→でんぱ組.inc古川未鈴の「古川未鈴と古畑奈和のいにしえ乙女酒」へ)
・東海ラジオ DeraDear☆Stage 終了(→でんぱ組.inc成瀬瑛美・鹿目凛・根本凪、アシスタントにディアステージのGEMS COMPANY「JAM GEM DEMPA!!!」へ)
・夢眠書店開店日記 連載終了
・夢眠書店Instagramアカウント開設
・たぬきゅん TokaiWalkerにて連載開始
残っているレギュラー
・アイキャラ(次回は3/29だが最終回マークなし)
見事に風呂敷をたたみ、つつがなく引き継ぎをしていっている…!
夢眠ねむ卒業公演は、僕も行きました。
ねもちゃんがミントグリーンを引き継いでくれたので、そこに夢眠ねむは存在し続ける
— 右ねじ (@Rightscrew) January 7, 2019
こうして、夢眠ねむは、概念になったのだhttps://t.co/PH39ycs7JR
ねむきゅんの居ないでんぱ組.inc見るのが怖い、とか言うんでしょって言って、
— 右ねじ (@Rightscrew) January 7, 2019
6人の新生でんぱ組.incのライブを一緒に見てくれた、どこまでも救いの手を伸ばしてくれる夢眠ねむさん
形のない財産というものは存在するんだね
— 右ねじ (@Rightscrew) January 7, 2019
長年でんぱ組.incの姿を追っていたCSテレ朝チャンネルでは、生中継もされました。
今日それを観ていたのですが、頭の中に文字が湧き出して止まらないので少し付き合ってもらえますか。
でんぱ組.incがこれからも続いていくための、卒業公演のセットリスト
夢眠ねむ卒業公演、この日のセトリは本当に神でしたが、改めて録画を観て思いました。神は神でも、そんじょそこらの神じゃない。天照大神クラスの神だった、と。
しかも夢眠ねむ本人がワガママを通しまくったというセトリが神ということは、夢眠ねむさんは創造神ですね…。
もちろん、自身の卒業に際して歌っておきたい、という意味もあったのだと思いますが、僕はそれ以上に、でんぱ組.incというグループそしてオタクにとって、これまでモヤモヤしながら言語化が憚られていた事柄を、楽曲の力を借りて解決に導く意味があったのではないか、と感じました。
1.メンバー増減があっても、グループの連続性は保たれる
セトリには「みんなが聞きたいであろう」でんぱ組.incの代表曲もあれば、初期楽曲のいにしえメドレー、さらに最新アルバムからも多数選ばれていました。
個人的には長かった6人時代の印象が強いですが、その前に5人時代と、4人だった時代もある。また最上もがさんの脱退からは5人となり、根本凪・鹿目凛が加入して7人に至る。
その全時代、どの体制の時の楽曲もある。
メジャーデビュー曲から現在までの幅広い楽曲、特にいにしえメドレーと冠してみせた「電波圏外SAYONARA」は、現在の宇宙コンセプトに通ずるはじめてのメジャーアルバムの収録曲。
それを聴いた古参のオタクは何を想っただろうか。それを夢眠ねむさんは、どう想像しただろうか。
いつでも、共に悩み、励まし合いながら強く生きていこうと支えあってきた。
でんぱ組.incは例え何人であろうと、それぞれが強い思いを持って、誰かに何かを届けようとしている。その想いに負けない熱量で応援してきただろう。その関係はこれまでも変わらなかったし、変わらないのがストロングポイントであり、魅力であり、ほっとけなさ。それを再認識することで、これまでの歴史を全て肯定することができる。最後に夢眠ねむ卒業後の、6人になった新体制のでんぱ組.incで代表曲「Future Diver」を見せることによって、「メンバー増減があってもでんぱ組.incのスピリットは変わらない」と感じさせるというシナリオが、あるのかもしれない。
2.WWDBESTがWWDシリーズを代表して、「苦悩」「困難」と闘うでんぱ組.incを表現する
でんぱ組.incを有名にした曲と言ってもいい「WWD」、「WWD2」は、卒業する夢眠ねむ、脱退した最上もがも含めた、当時のメンバー6人のパーソナルなコンプレックス、葛藤が歌詞に含まれている。僕は正直、もがちゃんが脱退した時に「WWDシリーズは演れなくなったな」と思いました。歌詞やグループ名にメンバーの人数やエピソードが含まれると、状況が変わった時に歌えなくなる。ももクロの「Z伝説 〜終わりなき革命〜」とかがそうだと思う。
そのWWDシリーズの3作目がWWDBEST。卒業公演で、夢眠ねむが演じるラストの曲となりました。
夢眠ねむさんは、7人体制のライブで使われなかったこの曲をこの公演にぶつけることで、
WWDシリーズとでんぱ組.incを救おうとしているんじゃ無いでしょうか。
これまでメンバーそれぞれの内面そのままを晒してきたWWDシリーズは、WWDBESTで「大人になった今、過去の闘いの日々を肯定する」という内容になります。その上、それが普遍的なフレーズを通して歌われたことによって、メンバーの個性・エピソードに頼らず、「苦悩を抱えながらがむしゃらに走り続けてきたでんぱ組.inc」という根幹だけを訴えることが可能となった。「WWD」「WWD2」のエピソードがあったのが前提としてあるにせよ、その2曲を使わずにでんぱ組.incの持つエモーションを表現できるのならば、グループの大きな資産喪失を回避し、エンタメとしてでんぱ組.incの持つ魅力をさらに強めることができる。そんなイノベーションを見せられた気がしました。
3.卒業・脱退メンバーが「オタク」として見守るスタイル
これは卒業公演としては異例でしょう。でんぱ組.incを象徴する楽曲のパフォーマンスを、法被を着て、ペンライト振って楽しむ。ただの可愛すぎるだけのオタクがステージ脇にいました。「ねむきゅんのいないでんぱ組.incのライブ観るの怖いから行かない〜」的な逃げ道を断たれました笑
でも僕はそこに、これまでに卒業・脱退してきたメンバーが、OGとしてじゃなく「オタク」としてなら、これまでより気軽に応援できるのではないか、というアイデアがあると感じました。
去ったメンバーの中にはでんぱ組.incについて発言すること、ライブに行くことに躊躇いを感じる人が、これまで・これから出てくるかもしれない。何故なら、誰もが部活引退した後に、部活に顔を出すことができるわけでは無いからです。OB・OGとして顔を出して何をしたらいいの?部員にウザがられない?僕はそんなことが気になって、ついに部活を見に行くことはできませんでした笑
では試合応援なら?そこまで気兼ねなく応援しに行けたかもしれません。だって、そこでは「応援する」のが目的で、応援するのに先輩も後輩も関係ないからです。
これまで以上に元メンバーがでんぱ組.incを応援しやすいように、例を示しつつ
「推しの推しは私の推し」というオタクのジャイアニズム(習性)に従えば、夢眠ねむのオタクはでんぱ組.incから離れません。
オタクを理解し尽くしたアイドルの、運営側、元メンバー視点も考慮された、天照大神セトリだったと、改めて僕は思いました。
これ、ディアステージという芸能事務所の「CHARACTER」というページ。
このページに2019年現在存在する6キャラクター、全て夢眠ねむ。
2019年4月以降は、夢眠ねむさんは「たぬきゅん」およびその友達のプロデュースと、
自身がキュレーターとなる「夢眠書店」の開店を予定している。
それに向けて前述の通り着々と準備が進められています。
あと数日でお姿を見られなくなるのは寂しいですが、でんぱ組.incの新体制ツアーは完売ですし。4月以降はクリエイター・キュレーターとして充実した日々を過ごされるであろうと期待して、でヲタ続けます!ではまた!
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