ゆく2016年、来る2017年

2016年が去っていったあと、私は2017年と2人、その場に取り残されていた。
これまで毎年、淡々としずしずと過ごしてきた私にとって、こんなにペースを崩されるのは初めてだった。
芸能界、野球界、日本自体も、アメリカまでも、この2016年のマイペースさ、アグレッシブさに振り回されっぱなしだった。

付き合い始めは「今度は何だよ!笑」と楽しんでもいられたが、こうも続くと恐ろしさが勝る。
終いには「この世界って2016年で終わりなんじゃないか?最後だからこんなにも凝縮された1年なんじゃないか?」と怯えて過ごした。
刺激が強すぎて、この世がぶっ壊れるんじゃないかと思った。実際震度6の地震が3度も起きていたし。

そのせいか私も何故か「今年中に、47都道府県を回りきりたい」という意思に動かされてしまい、残していた8県を回る過酷な旅をした。

もう思い残すことは無い、好きなタイミングで殺してくれ。

そこまで覚悟していたのに、2016年は何もせずただ去っていった。

呆けた。

私は待っていたんだ。2016年のその自分勝手な思い切りの良さに、あっさりスパッと殺されることを。
毎日世間を賑わせた彼が最後に選ぶのが、私であって欲しかった。

もう1人取り残された2017年も、聞いてみると2016年を見てワクワクする側だったらしい。
「さすがに2016年で終わりとまでは思っていませんでしたけど」
はにかむその瞳は、あのツンツン頭と目立つ八重歯の後ろ姿をずっと見つめていた。

「一緒にいて楽しいか、あまり自信はないですけど・・・まずはお正月だし、ゆっくり知り合っていきましょう」
少し恥ずかしそうにする2017年に手を引かれて、新しい1年が始まっていく。

さようなら2016年。
お手柔らかにね、2017年、

ほねでざいん honesty-to-desire.inc

あれもしたいこれもほしい、欲求に正直なホモサピエンスのチラシの裏 I live honesty to my desire.

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