Curry and rice2020.12.08 14:43私の家へと続く夕飯の匂いは、焼き魚、鍋、何かの煮物。そして我が家の隣がカレー。ワンルームにしては自炊好きが集まったアパートの一番奥が私の部屋。帰宅するとしばらくしてインターホンが鳴り、隣家のお姉さんが作りすぎたカレーをお裾分けしてくれる。ピンポーン ほらね。私は同じ一日を、もう百...
風雲お菓子抄2020.10.29 13:08「邪魔するぞ」「お、お代官様!突然どうなされたのですか」「何か食い物はないか」「そんなこともうされましても…こんなものしか」「山吹色の菓子か。サクサクして美味そうだ。もらっていくぞ」「えっちょ…お代官様!何だったんですか!」「気にするでない、悪いようにはせぬ」シンプルイズベストが...
それはまるでお月さまのような2020.10.28 16:19♪~ パン パパパパン パパパパン パパパパン パン木々をかき分けてけもの道から現れたのは、朗らかな青年二人と、足腰のしっかりしたご老人。一見穏やかに見える彼らの顔つきだがしかし、瞳の奥にはくぐり抜けてきた修羅場の数が窺える。人の一生というものは山あり...
幸福なアルバイト2019.02.09 08:47目を覚ますと、またびっしょり寝汗をかいていた。このバイト、いろいろとおかしい。大学の夏休みを持て余していた私が、となりの県の海水浴場で住みこみのバイトを始めたのはちょうど2週間前。バイト雑誌に載っていた高い時給と、丸々一か月分の生活費が浮くという理由で飛びついたのは、失敗だったか...
AIは秀才に過ぎなかった2018.11.12 15:48西暦2040年、東京五輪を通したPRが大成功した日本は、オタク先進国の名を欲しいままにしていた。アニメでも漫画でも出せば売れる状況で、聖地となった自治体へはファンからのふるさと納税が殺到した。また五輪ボランティアの会話を分析したことにより、日本語から各国語への翻訳技術が確立し、出...