突然、「旅に出よう」と支度をはじめてしまうことがたまにある。
急な思い付きだからもちろん一人旅になる。
交通機関とかは家を出てから調べるから、ばたばたするし、出費も多め。
でもなぜかこの3年ほど、定期的にそれをやってしまう。
今年は、6月に大阪で知り合った人(東京に住んでると言ってなかった)に「合コンあるんだけど来る?」と誘われ、夜行バスで出発した瞬間に合コンお流れメールが来たので、仕方なく観光して帰った。
その少し前5月には、最近はまっているでんぱ組.incのTV番組で特集されていた江ノ島水族館に行きたくなり、夜に友人と飲む予定があることも忘れて飛んで行ってしまった。
去年は「来ないと思うけど一応行先言っておくね」という友人の言葉に乗ってしまい、なぜか富士サファリパークだけを見に行った。(友達は水圧で空を飛ぶとかいろいろやったらしい)
また、別の日に友人が車で富士まで行くことを聞き、「乗せて」と言って富士から名古屋まで自転車で旅をした。
一人旅は好きな時に好きなところに寄れて、責任もなにもすべて自分だけにあるのが良い。
その気軽さに気づいてしまったのは一昨年の8月だった。
いっぱしの会社に勤務していると、要らないと行っても毎年夏と冬には数日休暇を与えられるので、
当時出不精だった僕は家でだらだらしていた。
「夏なので」というだけの理由でサマーウォーズを見ていた。
映画の中で第二次上田合戦の真田家について語られるシーンがあり、ネットで調べてふむふむとか言っていたら、上田市のイベントカレンダーのページにジャンプした。
そこで、「爆水RUN」という単語に出会った。
爆水RUNというのは、上田市を流れる依田川という川をコースに組み込んだマラソンだ。
さっき知ったが、日本マラソン100選にも選ばれている。
字から、アスリートたちが川の水をバシャバシャと吹き飛ばしながら疾走する姿が目に浮かんだ。
見たい、そして写真に撮りたい。
そして数時間後には会場近くの民宿に前泊していたのだった。
実家の車がつかえないからわざわざレンタカーを借りたし、
当日急になので民宿も安いところは見つからなかった。(そりゃそうだ、イベント前日だもん)
ついでに言うと本当は電車で行けば結構安かったことに、後で気づいた。
テンションが上がってしまうと、多少のことは「払えばいいんだろ!?(錯乱)」と血走った眼で見過ごすことになる。
爆水RUN当日の朝、9時に開会式が始まるころ、僕はランナーが最初に川にぶつかる地点で撮影ポイントを選んでいた。
僕はこういうときだけコミュ力が上がる傾向にあり、ほかのカメラマンさんたちと楽しく時が来るのを待った。
ピストルの音が鳴り、しばらくすると地面をたくさんの人が蹴る音が響いてきた。
ついに来る。
最初のランナーが着水するその瞬間を逃すまいと、カメラマンの皆さんと一緒に緊張の瞬間を迎えた。
それは、合理的過ぎる瞬間だった。
よく考えればわかることなのだが、マラソンで上位入賞を目指すのなら、川なんか走らないほうがいいに決まっている。
水の抵抗で進むのを邪魔されるからだ。
先頭で現れたランナーを筆頭に、次々に"川岸"を走っていくランナーたち。
ああ、水をバシャーって…しませんよねぇ。
深く考えなかった自分を責めつつ、一通り撮影し、次の一団が走り始めるのを待った。
爆水RUNは三部構成になっていて、結構マジな鉄人コース、川を走るが距離が短いずくだしでGO!コース、レースではなく川のウォーキングを楽しむファミリー・グループコースが時間差で進行する。
鉄人コースはマジだったが、ほかのコースなら…と気を取り直して待つと、ずくだしでGO!コースは職場や友人グループで参加している人が多いらしく、積極的に川に入ってくれた。
ようやく念願の、水バシャー。
ただ惜しかったのが、和気あいあいすぎて全然必死じゃない。躍動感がなかった。大人が川で遊んでもさほど楽しくなさそうなのである。
いや多分自分が参加したら超楽しいんだろうけどね。写真にそれが映らなかったのです。
最後のファミリー・グループコースは、子供が参加することもあり川の勢いが少し弱いところを進むコース。
これも弱いかなーと思いましたが、子供というのはやはりドラマチックな存在で、周りを気にしないし、水を楽しむし、レースじゃねえっつってんのに急いで進もうとして転んだりする。
最も心に残ったのは、同じTシャツ(オリジナルでした)を着た3兄弟で、段差が大きいところで弟を引っ張り上げてあげるお姉ちゃんの手。
子供は身長が低いので、顔の近くに水しぶきが入りやすいのもあり、大鵬薬品よりもファイト一発な写真が撮れたのでした。
一瞬でこのレースに満足してしまった僕は、車を走らせて信州なのにそばも食べずに(どじょう鍋を食べました)家に帰ったのでした。
親は何してんだ?と言っていました。
この突発一泊長野の旅以降、無計画に散財を引き起こす「一人旅癖」がついてしまったのでした。
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